ロマの村が穏やかなのは…、
他の村と争いにならないのは、

僕が居るからでした。


僕の力を恐れて、
些細な争いさえ持ち掛けては来ないのです。

自分達に無い力。
年を取らない僕。

自分達と違う、僕。


『あの村には妖しい術を使う、年を取らない悪魔が住んでいる』

他の村の人々は、僕の力を怖がり始めていたのです。
勿論、僕は危害を与える事は何もしていません。

とても悲しい誤解です。

しかし、僕には心を通わせるロマが居ましたし、この村の人々は僕を慕ってくれる者も多かったのです。


「世代も変わったからな…。彼ら若人はユラの力を知らずに噂話をするのだよ…。」

「そうだよ、ユラの力は優しい力だ。大地に光を与え、恵みを与える。有り難い物だよ…。」

そんな彼らの言葉に、僕はとても救われていました。