「…あたし、知らなかった…。ユピテルのお話が、こんなに悲しかったなんて…」

クゥン。
『…俺もー。』

二人は顔を地面に向け、悲しそうに言ったのです。


――…御免なさい。嫌われてしまいましたかね…?――

森の主は微笑ましく笑いながら、僕の言葉を彼女たちに伝えました。


ザワ…
『…風がな、心配しておるよ?ユピテルを嫌いになったか、と…』


「『――…全然っ!!」』

飛び跳ねた様に、揃った返事が僕に向けられたのです。

女の子が僕を見上げ、
躊躇いがちに聞きました。


「…おじぃちゃん。一個聞いていい?あたしたちにお話を教えてくれてる「風さん」てさ…」

ワンッ!!
『――…ユピテルだろっ!!』


「――っ!?コンー!?どうして言っちゃうの!?あたしが聞きたかったのにーっ!」

犬竜の言葉に、
女の子が怒っていました。


ワンッ
『んなっ!?平気じゃんッ。俺の言葉、ハルカにしか分かんないじゃんかッ!!』

「…そうだけどー!気分がー…」

クスクスと僕からは笑いは漏れ、草木を揺らします。


――ふふ…、楽しい。いつも、こうなんですか?――

『大概な…』

森の主がこっそりと答えます。