時間。
永遠を失った僕は、
放っておいても消える運命。
でも、消える前に、
やるべき事がありました。
ただ静かに時を待つ事は出来なかったのです。
世界に、残さなくてはならないものが在りました。
僕ノ、
言ノ葉ガ消エテシマウ前二。
この場所は、
最期にふさわしい場所でした。
見上げれば、僕の月たち。
見下ろせば、僕の愛する世界。
寂しくは、ない。
「…この世界は綺麗ですね…。あぁ、ロマ。僕は此処へ来て良かったのですね…?」
ロマを胸に抱き、緑色の大地を見渡しました。
彼もゆっくりと尻尾を動かしながら、僕と同じ場所を瞳に映すのでした。
「…生命の光を与えた森、七色の花畑。精霊と呼ばれる森の主、迷いの森。世界を巡る風たち。人々に与えた羽根、妖精の魔法…。夜空には人々を照らす、幾つもの月…」
残した物は偶然じゃない。
必然だったのです。
知らぬ間に、
運命ノ輪ハ、廻ル。
ワン…
『…お願い。俺、ユラの中に帰りたい。』
「はい…?」
ロマの唐突な願い事も、必然だったのかもしれません。
彼の存在は、僕の知る神話には出て来ませんでしたから…。

