やっぱりパスしときゃ良かった。 今の今更。 ため息をつく。 「佐伯、何でため息なんてついてんの?」 隣に座る尾崎は言う。 只今、楓の知り合いの旅館に行く途中。 新幹線の中だ。 「あっ海だよ海っ!」 はしゃぎ回る何人かの男子と女子。 なんでこんな大勢で来るんだろう。 「ねー。佐伯、海だよ!」 「あぁ。海は海だろ。」