「なんでアタシらが出向かないといけないのよ。」

ため息をつく蒼。

「文化祭の道具を貸してもらうんですから、しょうがないです。」

松本は言った。

「いいじゃん。旅館も貸して貰って、二泊三日!」

広は青い空に向かって言った。

「なんで、わざわざ二泊も…。」

「色々手伝いがあるんですよ。それより、早く歩きましょう。日が暮れます。」

冬軒はパタパタと扇ぐプリントは止めずに、早足で歩いた。

蒼達も足を進める。

アスファルトの上を歩く靴の音がした。