「…まずい。」



「仕方ありませんわ。料理なんて、メイドに任せてありますもの。」



大宮は、あのあとすぐ病院に運ばれ、一命を取り留めた。内臓はボロボロで、助かったほうが奇跡なんだと、医者は言った。
それからは、礼宮グループのもつ病院に入院しているのですが、この方は怪我をしてるのに相変わらずで、わたくしも手をやいている。




「まずいんなら、食べなきゃいいですわっ!!病院食もあるわけですし、無理して食べることないですものっ!!」



わたくしが作ったクッキーを、とりあげようとすると、手をぐいっとひっぱってきた。



「お前、俺が怪我してるからって、何もできないとか思って、油断してんじゃねぇの??」


「お、思ってないですわっ!!それよりもっ…、顔っ、近いですわ…。」



わたくしが顔を背けると、頬に優しくキスをした。
大宮には似合わないような、優しいキス。



「お前、もう俺から逃げんなよ。てか、逃げさせねぇからな。」


「逃げませんわ。大宮が逃げても、わたくし、あらゆる手を尽くして、探し出してやりますわ。」



にこっと笑って、返事を返すと、大宮も参ったな、と言うそぶりをして、



「お前なら、本当にやりそうで怖いな。」



「いやかしら??わたくしのこと、あんなに好きですのに。」



「……お前。」


大宮は照れたのか、枕にうつぶせた。



「では、これからのことですけどっ、大宮には礼宮家のしきたりに従っていただきます。まず、我が家の籍に入って、わたくしの実家で住んでもらいますわ。」



大宮は口をあんぐり開けて、少しの間動かなかったけど、笑って、



「投げられたときも思ったけど、まじお前にはかなわねぇな」


と頭を抱えて、大笑いした。