ピッピッピッピ……














「奈々……。」








「ん??なぁに、お父さん。」











笑顔でこちらを向くのは、娘の奈々。
そう、奈々……。












俺は奈々が死んだあと、大学で出会った女性と付き合って結婚した。
そのとき授かった女の子に、あの名前をつけた。
漢字も全く一緒。
奈々みたいに、大人しくて気が利く子ではないけど、元気で周りを明るくするいい子に育ってくれた。










そして、奈々は来月結婚する。











「お父さん、どうかしたの??」












「お前の花嫁姿、見たかったなぁ…。」











「な、何言ってんのよっ!!来月だよ??焦らなくても、すぐ見れるから…。お父さんはちゃんとスーツ買わなきゃね!!あと靴と……、お父さん??」











「……」












「寝ちゃったか。」










眠ると夢に奈々が来てくれる。
長い長い夢。
奈々があのときのように微笑んでくれる。












そうして、俺は眠りについた。奈々に逢うために…。