「いつでも良いぞ!」
「よし! あかり下がってろ!」
(おに)ヤバすぎー! どうなっても知らないからね!」
あかりはキャビンへと引っ込んだ。
スクリューぎりぎり後ろの海面(かいめん)にぶち込めれば、うまいことスクリューだけを破壊(はかい)して船を止めることができる。
「良いぞディルク! やってくれ!」
「了解。ファイア!」
 
どばんっ!
 
(すさ)まじい音と共にブースターが点火(てんか)、コンテナからミサイル本体が()ち出される。その後、10m(ほど)飛んだところでミサイル本体のロケットモーターに点火。一気に超音速(ちょうおんそく)まで加速(かそく)し、一直線(いっちょくせん)に船の後部の海面へ――
うまくいった。そう思った矢先(やさき)
 
ずっっっ……どごおおおおぉぉぉぉん!!!
 
とんでもない爆発音(ばくはつおん)と、とてつもない水柱(みずばしら)予想(よそう)していたより少し……いや、かなり破壊力がデカい。水柱で船が見えなくなってしまった。
余波(よは)でバラクーダもガタガタ()れる。どこかにしがみついていないと、船から()り落とされそうだ。
「ちょっ……! マジありえ……いったー!! 頭ぶつけたー! めっちゃサイアクー!」
下のキャビンからは、あかりの悲鳴(ひめい)も聞こえてくる。
「くっ……! ちょっとやり過ぎたのではないか……?!」
「ち、ちょーっと予想より破壊力あり過ぎたかな……? 船に向けて使ったことなんてなかったから……
で、漁船はどこ行った?」
「あれではないのか?」
「え?」
ディルクが指さす先。夜空(よぞら)を船が飛んでいる。漁船はそのまま飛び(つづ)け……
 
ごっしゃあああぁぁぁん!!
 
少し(はな)れたところに停泊していた(かん)のブリッジに、マンガのように綺麗(きれい)着地(ちゃくち)した。
「げっ! あれって……」
その艦は……
スペインのコーストガードの艦だった。