ホスト 神

俺を始め、リビングに居る全員が、一斉に月矢へ視線の先を注ぐ。



「ヘルプに[RED・STA]の後輩を使ったらどうですかね?勿論強制じゃ有りません。あくまでヘルプとしてだけです!一気に十何人も抜けられたら、フロアは回らなくなります。」



俺は目の前のガラステーブルに置いたタバコを取り、中から一本だけ取り出して答える。



「なぁ月矢。ホストは経験も大事なんだぞ!分かるよな?」



「分かってます。ですがセンスも必要です。神君や、ジュン君のように五年でナンバー1に成るには、経験だけでは足りませんし、五年でのし上がるなんて中々出来ません。大体二週間とみて、毎日死ぬ気で教えれば、見込みのある奴ならヘルプに付けるくらいに成るかもしれません。」



確かに何年ホストをやっても、義人のように芽が出ない奴もたくさん居るが…賺さずジュンが助け船を出してくれた。



「人数が足りないって事は、ハルさんも考えているだろう。取り敢えずハルさんにOKを貰ってからだな。だが月矢の言う通りにする事になったら、寝る時間なんて殆ど無くなるぞ?出来るのか?」



月矢は目に力を込め、ジュンの言葉を吸収するようにゆっくりと頷いた。