ホスト 神

「俺がホストしてるって知ってるのか?」



アールグレイを一口啜りながら、陽子が頷く。



「知ってるよ。[fly]のナンバー1なんでしょ?その[fly]に行くお客様の髪のセットしてるの私だよ。でも、二人共この街にいるのに、今までよく会わなかったよね?」



そうか…確か陽子は美容師だったな。



元々育ちが違うのだ。俺が月なら彼女は太陽。二つが合わさる事が無いように会う事は無い。だからこそ、互いに自分に無い物を求めて引かれてしまうのかもしれない…。




「…ごめんなさい。あの時の事、ずっと謝りたかったの。あの時、私今のサロンに働き出した所だったでしょ?親にもずっと反対されてたけど…美容師になるのが私の夢だったのよ。神君と別れるか、美容師を辞めてお父さんの会社で事務をやるか、あの時の事でお父さんが怒っちゃって、私にどっちかを選べって…それで私。」



「それで美容師を選んだのか。」



「ごめんなさい。」



陽子は、前髪がテーブルに付きそうなぐらい頭を下げた。



「よかったよ。陽子は、あの時の事で俺の事嫌いになったんだと思ってたんだ。謝って許される事じゃ無いけど、俺もずっと謝りたかった。あの時は怖い思いさせてごめんなさい。」