ホスト 神

陽子の家は一軒家で、玄関の右側に小さな庭が有り、左側には車二台分の車庫があって、中には濃いシルバーのBMWが停まっていた。


だが、今の俺は目の前にある、玄関の重厚そうな黒い扉しか目に入らない。


その時、目の前の重厚な扉が軽そうに開き、中から四角い黒縁眼鏡をかけ、背筋がスッと伸びている四十代後半ぐらいの男性が出てきた。



「君はこないだの…という事は君が神君かね?」


陽子の親父さんと思われる男性は、ジュンを見てから俺をジッと見つめてきた。



「はい…この度はすいませんでした。」



俺は所々切れている唇を目一杯大きく開け、腹筋がバラバラになるんじゃないかというぐらい大きな声を出して、頭を下げられるだけ下げた。背筋が軋む音が聞こえてくる。



…本来なら土下座でもしたいくらいだったが。



「頭を上げて帰りなさい。君の顔は見たくもない。」



「陽子さんに会わせて下さい。お願いします。」



陽子の親父さんは、俺にハッキリと聞こえる程の溜め息を吐いて、家の中に向かって大声で陽子の名前を呼んだ。



「その体で此処まで来た事に免じて、一目だけ会わせてやろう。だが、会わなかった方が良かったと後悔する事になるぞ。」