ホスト 神

由美のテーブルに戻る時に、キャッシャー脇にいる影人を見た。すっかり戦意喪失している。



俺が[blue]に対して、負ける訳が無いと思っていた理由がこれだ。


確かに[blue]本店はデカい箱だが、戦力(ホストと客)を二分して勝てる程[fly]は甘くない。


この街で、せめて一年ぐらい地盤を固めていれば、良い勝負になったかもしれないが…。



だからこそ、姑息な手を使わなければならなかったんだとも思う。




だが、俺は由美を傷付けてしまった事の方が、何より痛かった…。





「いやぁ〜酔ったぁ。」


なんとか誤魔化しながら由美の隣に座る。



「神はバカだね。」



酔ってきてはいてもカチンときた。少しムッとした顔で、隣にある由美の顔を見た。



「私の事なんか気にしないで、知らないって皆に言えばこんな事にならなかったのに…でも月矢君に聞いたよ。ハルさんに説得されたのに、絶対首を縦に振らなかったって…ありがとう。それが一番うれしかっ……ごめん!ちょっと化粧直し行って来るね。」



…俺は酔っていた事もあり少し目を閉じた。



薄い夢の中で由美の目に涙が見えた気がしたが………。