ホスト 神

俺は何も答えずに蛇口を捻り、勢いよく出てくる水で顔を洗った。



[fly]のホストならば、皆知っている話だ。ジュンが気付くのも当たり前の話し。ハルさんが何も言わないのは、おそらく俺が辞める事を知っているから。



「おい。神!話し聞いてんのか?」



俺は顔から滴る水も構わず振り返り、出来る限りの笑顔をジュンに見せた。



「なぁジュン…俺ホスト辞める…わりぃ。」



軽くジュンに頭を下げた瞬間、脇腹に激痛が走った。激痛は左脇腹から鳩尾を通り右脇腹に抜けていった。



一瞬苦しくて息が止まる…答えはすぐに理解できた。



ジュンに殴られた。



「これでガキの頃からの腐れ縁も終わりだな!」


…痛みが止むと、ジュンが手加減してくれたのが分かった。



俺とジュンに、湿っぽい別れはいらない。





これぐらいが丁度いい。