ホスト 神

その頃[fly]の前には、一台の黒いロールスロイス。ファントムRRが停まった。







「じゃあこれはなんなのよっ!」



ナナエが、綺麗にデコレーションされた携帯を開いて、あの画像を由美の前に突きつける。



「へぇ〜よく撮れてる。でもこれ私の部屋の前だよ。神君の部屋は一つ上の階。こないだエレベーターの中で具合が悪くなった時、偶然居合わせた神君に部屋の前まで運んでもらったの。今日はそのお礼に来たの。何か問題あるの?」




…止めてくれよ。



何でそんな事言うんだよ。




…俺は由美が傷付くと思って弁解しなかったのに…。




由美は傷付かないの?



「だいたいアンタ達もキャバ嬢でしょ?客に家の前まで送ってもらった事ぐらいあるでしょ?だったら神君の事何にも言えないんじゃない?」



由美に言いくるめられ、何も言い返す事の出来ないキャバ嬢達。



店内には、スピーカーから聞こえてくるどうでもいい音楽しか聞こえてこない。



…静まりかえる店内。




その場にいた全員が、入り口の方から聞こえてきた、拍手の音に目を向けた。