ホスト 神

「止めろ。」



神堂龍造が、太い左手を軽く挙げて若いライオンを抑える。



その左腕には、ゴールドとプラチナで造られ、ダイヤが文字盤の所に入ったロレックス。



よく見ると以外とお洒落。紺に黒いストライプが入ったダンヒルのスーツ。中のシャツはシンプルに白のシルク。革靴は深緑がかった蛇皮。



シャツは目の前で第三ボタンまで開けられ、チラチラと見え隠れする唐獅子牡丹の彫り物と、細身だがしっかりとした金のネックレス。左手の小指には、第一関節から先に精巧に作られた義指が填められていて、ヤクザという事を再確認させる。



「お前等外に出てろ!」


ジュンと美姫はクリスタルを飲むのも忘れ、不安そうに俺を見つめてくる。



若く血気盛んなライオン二匹は、俺を散々睨みつけながら渋々外に出て行った。



心配する事は無い。これは只の威嚇行為と言う名のパフォーマンスだ。



「兄さん…娘の前だから俺が黙っているとでも思ってるんかい?」



年老いてもなお、この街の闇の部分の頂点に君臨するボスライオンは、ぐっと身を屈み込め、一段と鋭いサメのような目付きで俺を睨んでくる。