ホスト 神

「この時計を貰ってきた時も…龍は凄く喜んでたんです…それまで付けていたブルガリの時計を売って、子供の為の貯金にしようって…でもこのロレックスだけは、何が有っても絶対に売らないからって…。」



そう言って龍一の女は、ベットの枕元に置いて有った、無傷のロレックスを強く握りしめた。



「お医者様が言うには、右手でこの時計をかばっていたから、肋骨は折れても肺には刺さらなかったんだろうって。」





…俺は言葉にならないまま、龍一の女に深々と頭を下げ病室を出た。





…絶対に[blue]の奴ら許さねぇ!





俺を新たに、そう決意させるには充分すぎる出来事だった。