ホスト 神

「俺が居ると話し合いにならなくなるから、出てくるよ。終わったら連絡して!」



そう言って俺はリビングのドアを閉めて家を出る…マンションの地下駐車場に行き、車に乗り込んで行く当ての無いドライブに出た。






行く当ても無いので、一時間ほど街を彷徨っていると限界が訪れる。





マンションに戻り駐車場に車を停めて、其処からまた一時間くらい経った時、突然携帯が鳴り響いたが、直感的に由美だと確信して電話に出る。



「はい。」



「もしもし?今…終わった…。」



俺は分かったと言って通話を切って車を降り、マンションの入り口に向かった。



マンションの入り口には由美が一人で立っていて、俺を見つけると泣きながら走ってきて俺に抱きついてくる。



泣きやまない由美を見て、俺はもう一度車に戻り今度は二人で当ての無いドライブに出た。



ドライブからマンションに帰って来る迄、由美は延々と泣き続けた…。





今までその大きな瞳に溜めていた涙を…全て出し切るかのように…。