魔女と花

今は私の次の番号の人が自己紹介中。

早く彼にならないかな。クラス替えの紙もあれから改めて貰ったとはいえ、

どんな名前でどんな声をしているかが、早く知りたい。

彼の間に何人もの人間がいる事がじれったく感じる。

心の中でずーっと早く終われ早く終われって念じてしまう。

流れた時間はほんの数分なのに私にはとても長く感じたと思う。

じれったく感じた時間も終わり、いよいよ彼の番。

すっと立ち上がってから緊張しているのか少しぼそっとした声で、


「12番、薩川桜太(さつかわ・おうた)。よろしく……お願いします」


その瞬間だったと思う。後ろにいた保護者達の中から、


「こるぁー、もっと元気よく挨拶せんかい!」


というおじいちゃんの声。全員が振り向いた先には、紋付き袴姿のご老人。