魔女と花

小学校から中学校へ上がった春。

毎年のように桜は待ってましたと言わんばかりに、咲き乱れる。

新たな生活にふさわしい青い空。もう何かがこみ上げてくる。

私が通う中学校は、隣町にある小さな小学校の子と同じ中学校。

新しい友達が出来るかもしれない。それも1つの楽しみ。


「ねえ、歩(あゆ)ちゃん。クラスの発表されているみたいだよ!」


幼稚園からの幼馴染、亮祐(りょうすけ)が目を輝かせながら言ってくる。

焦げ茶色の綺麗な髪をなびかせて、まだ初々しい学ランを着て。

私はこいつの母親じゃないのに、母親の気分になるのは亮祐のせいだろう。

そんな私も慣れないセーラー服でちょっと違和感感じているけどね。