たとえば、俺の前の席。

相模平幸人。

趣味はプラモと堂々と言うだけあって、手先が器用だ。

去年の文化祭、幸人と共に裏方として活躍したのは、上原唯。

いわゆる腐女子でコスプレイヤーとかいうやつだ。

幸人と唯は普段は言い争いばかりしているくせに、共同作業になるとぴったり休戦しちまった。

そうそう、それを七房紫音がからかうと、二人同時に反撃してきた。

「オタクなめんなよ」だそうだ。

普段おとなしい唯の口から、そんな言葉が出るなんて、俺は正直驚いた。

どうやら、俺には理解できない、彼らなりの文化とやらがあるらしい。