胸がジリジリ熱くなって行く
そのクセ指先はどんどん冷えていき
早く逃げ出したい
稲垣刑事はぼくを見つめたまま
「ずっと覚えてたよ、楓くん
不幸が重なった君たち兄妹の事
夏祭りの日だったか?
6歳の蕾ちゃんが自宅近くの公園で男に暴行され
その数ヶ月後、自宅が全焼。
両親が一酸化炭素中毒で死亡
遺された兄妹は、それぞれ別の親族の家へ引き取られた」
ぼくは じっと手に握った缶コーヒーを見つめてた
「火災の原因は両親のタバコの不始末って事になったんだよな、結局」
ドクン、ドクン、ドクン
恐怖で鼓動が高鳴る
稲垣刑事は いまさら ぼくに何が言いたいんだ
もう、全て終わった事なのに
「なぁ、楓くん
キミ、教師だったな」
「………はい」
「だったら、わかるんじゃないか?」
「………何がです?」
「目だよ、目」
稲垣刑事は自分の目を指差しながら
「目ぇ見れば、生徒が今どんな状態か
わかるんじゃないか?」



