布団に寝転がりメールする私に
「中西と二人暮らしだっけ?」
宙がコーラ飲みながら訊いた
「ん」
私が短く答えると
「親は?」
「8年前、死んだ」
「ふーん。8年間一緒に暮らしてなかったの?」
「私は本州の叔父の家にいた」
「……なんで今、中西と一緒に暮らしてんの?」
私は パクッとケータイを閉じてポケットにしまう
「私の帰れる場所はお兄ちゃんのところだけなの」
「え?」
「宙にはわからないよ
いくら叔父が親切でも
もっと根本的なところ
私が帰れる場所はお兄ちゃんだけなの」
叔父や叔母、従姉妹がどんなに親切で気を使ってくれても
私は家族にはなれなかった
夜眠る時
恋しかったのはお兄ちゃんの腕や胸や体温だった
お兄ちゃんのところに帰りたい
私はずっと願ってた
私を無条件に受け入れてくれるのは
この世にお兄ちゃんただ1人だと
私は知ってる



