ガリガリ
戸の向こうから音がして
「引っ掻いたら怒られっぞ」
宙が呟き立ち上がって戸を開けた
「ミャーン」
小さな黒猫が入って来て
「なにそれ!」
私が起き上がって布団の上座ると
宙は黒猫を抱いて二段ベッドの私に差し出した
「コイツは花。先月拾った」
「かぁ~わいい~」
私が花に頬擦りしてチュウすると
宙はきょとんとして
「蕾、動物好き?」
「フツーに好き」
「ふーん。うち犬3匹猫5匹鯉5匹蛙2匹いるぞ」
「スッゴいね」
「鯉以外全部、オレが拾って来た」
「なぁに?捨て猫とかほっとけないタイプ?」
私が花をひざに乗せ撫でながら訊くと
宙は照れたように うなずいた
なるほど
きっと私も花と同じなんだ
宙に拾われたんだな
宙が私に構う理由がわかった



