しばらく黙って見つめあう
ぼくと蕾の間を
強い夜風が吹き抜けて
ぼくは蕾の手を握りしめた
冷たい小さな蕾の手
冷たい夜風にさらわれないように
ぼくの そば から 離れないように
強く 強く
蕾の手を握りしめた
「ぼくは蕾と生きたい」
母親に愛されず
残忍な犯行に傷つけられ
死ねば良かったなんて
哀しすぎるよ 蕾
死ねば良かった人間は
もう ぼくが始末した
蕾は 生きて 幸せになって欲しい
ぼくが 蕾を幸せにしたい
だって蕾
君の哀しみを
知ってるのは
この世で もう ぼくだけだ
蕾が 力を抜いたように笑い
「お兄ちゃんは
いつも蕾を守ってくれるね」
その柔らかい笑顔を見て
ピタッとジグソーパズルの最後のワンピースがはまった時のような
これだ!ってキモチになった
ぼくが欲しかったモノ
求めていたモノ



