両親を殺すと決めた夜
こっそり蕾に
今夜は一緒に寝ようと言った
階段に1番近い ぼくの部屋に いて 欲しかったから
夕食の時に
強い眠気の出る鼻炎の薬を両親の酒に混ぜた
その上、お母さんは 精神安定剤と睡眠導入剤を毎日飲んでいた
ちっとも精神は安定しなかったけど
二人とも タバコを吸う人で良かった
寝室の灰皿の中 たくさんタバコに火を点け
次にカーテンに火を点けた
こんなんで 燃えてくれるのか
死んでくれるのか
ボヤで終わったら最悪だなと思いながら
蕾は 真っ直ぐ ぼくを見て
「お兄ちゃん
蕾が死ねば良かったのに」
穏やかな 優しくも見える表情で蕾は言った
思春期にありがちな
少し いじけた発想ではなく
蕾は 心の底から
死ねば良かったと
思ってる



