たどり着いた【そこ】は
月極め駐車場だった
駐車場を照らす
電柱についた白い電気に
細かい羽虫が飛んでいた
蕾は 静かな落ち着いた表情で
ただ駐車場を見つめてた
離れたところで
身を潜めていて
ぼくは蕾を見つめてた
表情の読めない白い横顔
「駐車場になってたんだね」
蕾は こちらを見ずに言った
「お兄ちゃんは ここまで
ついて来れないと思った」
蕾……ぼくに気がついてたんだ
観念して ゆっくり蕾に近づき
「1人なら絶対、来ない」
そう言って 隣に並んだ
「いつ、ぼくに気がついた?」
蕾は 前を向いたまま
「公園で」と短く答えた
じゃあ あの時、公園に入らなかったのは ぼくに気がついたから?



