「お兄ちゃん…………」
そう言った私の声は掠れてた
「なんて無茶するんだよ」
怒ってるみたいに
お兄ちゃんは言った
無茶?
私、知らない中学生のお兄ちゃんに…………
上半身を起こして
自分の服を見ると
中学の制服
あ、私 もう14歳だ
あれは 昔 6歳の頃の夢
「お兄ちゃん…私」
私が寝ていたベッドの横にお兄ちゃんは座り
「覚えてないのか?
蕾は襲われた女子生徒を助けようと男子生徒に飛びかかって
素手じゃかなわないから
そこにあった椅子で
男子生徒をボコボコにしたんだよ
たまたま通りかかった蕾のクラスの伊東が
蕾を止めなかったら男子生徒は………死んでたぞ?」
え?
お兄ちゃんは少し…ううん
スッゴク言いにくそうに
「男子生徒は今、病院
伊東に抑えられた蕾は
急に気を失って………」
「ここ、病院?」
「いや保健室」
お兄ちゃんの話を聞いて
だんだん思い出した
何よりも 男子を椅子で殴った
手の感触
椅子のパイプ部分の冷たさが
生々しく



