マグカップから口を離して



蕾は「はぁ…」と小さく息を吐いた




「もう、いらない?」


そう訊くと


蕾は ぼくの目を見て うなずいた



ぼくはマグカップを机の上に置いて



「今夜はお兄ちゃんと一緒に寝よう」



蕾は 少し 戸惑った表情をしたが



蕾の肩を掴んで そのままベッドに横にして



ぼくもベッドにもぐりこんだ



布団の中でギュッと蕾を抱きしめると



まるで小さな太陽を抱いて
寝ている気分になった



「………ケホッ」



蕾は小さな咳を漏らし


また両手で口をふさぎ
我慢するから



「大丈夫、大丈夫
我慢しなくていいんだよ」



背中を ゆっくり さすると



「う……うるさいよ…蕾」



蕾の か細い声に胸が痛んだ



「大丈夫、大丈夫
お兄ちゃんは蕾が好きだから」




蕾は安心したように身体の力を抜いて



何度か咳をして眠りについた