ぼくの 妹 姫




ベッドサイドに置かれた


ピンク地に白い水玉模様の筒状の傘のライト



オレンジ色の灯りで


部屋は意外に明るかった



こんな明るくて眠れるのか?




足音をたてずに



ゆっくりと蕾のベッドに近寄り



枕元に ひざまずき



そっと 覗きこむ





「―――――………」



寝ている蕾を見て


なんとも言えない



哀しく切ない気持ちになった





蕾は胎児のように



ひざを抱えるように



丸くなって眠っていた




その寝顔は


子供の頃と変わらなくて



手を伸ばして


蕾の前髪に触れた


蕾は一瞬 ピクッとまぶたを痙攣させたけど



ぐっすり眠っているようだった





蕾の髪を撫でながら



大丈夫、大丈夫と



ぼくは何度も心の中で唱えた




大丈夫、大丈夫




お兄ちゃんがいるからね




小さい蕾をベッドの中で抱きしめながら



ぼくが唱えた呪文だった