ねぇ と蕾が急に こっちを振り返ったから
ドキッと心臓が飛び跳ねた
驚いたぼくの表情に
一度 蕾は不思議そうな顔で
首を傾げてから
「学校はここから近いよね?」
そう訊いてきた
ぼくは うなずいて
「歩いて10分もしないよ」
蕾は 嬉しそうに笑って
「んじゃ、少しは朝寝坊しても大丈夫だ
叔父さんの家は中学まで30分もかかったんだよ」
その言葉が あまりにも子供らしかったから
ぼくは安心して
「疲れただろう?
ココアでも飲む?
片付けは、ゆっくりやればいいさ
どうせ今は春休みだし」
ぼくの言葉に蕾はうなずいて
二人で居間に戻った



