ぼくの 妹 姫





蕾を半ば引きずるように
腕を引っ張り
ホテルの通路を進んだ



ドアに
乱暴にカードキーを
差し込み
部屋に入る



バタンッと
ドアが閉まったとたんに
蕾をきつく抱きしめ


一つに束ねていた
髪をほどき
柔らかい髪に唇をつけた




この腕の中に蕾がいる




高鳴る鼓動と共に
胸を一気に甘く苦しいモノが
満たして溢れ出しそうだった





「……お兄ちゃん………
離して…………………」



苦しげに蕾は声を出し
抵抗してみせたけど



それが逆に
ぼくの心を駆り立て
力ずくでベッドに押し倒した




「…………やぁだ……
やめて、お兄ちゃん…」



ぼくの胸に手を押し付け
ベッドの上、蕾は顔を背ける



蕾の頬を両手で包み
正面を向かせ



「……もっと………
もっと顔を見せてよ、蕾」




困ったような
悲しげな表情の蕾の頬を撫で




「顔を見せてよ………
会いたかったんだ
ずっと、ずっと、ずっとだよ
ぼくは蕾に会いたかった……」




そう言うと
涙が溢れて
蕾の頬に落ちた



10年前
蕾の上に乗り
その細い首に
手をかけた日のように



ポタポタと
ぼくの涙が雨のように
蕾の頬に落ちた