ガシャ――――ンって
何かが壊れる音が
頭の中だけで響いた
「――――――………っ
な、なに言ってるの?
ねぇ、蕾!
なにを言ってんだよっ!」
蕾の肩を強く掴み
感情のまま
前後にガクガクと揺すった
「なに言ってんだよっ!
なに言ってんだよっ!
さよならなんて
バカなことを言うなっ!」
蕾はぼくにされるがままに
なりながら
「なに言ってんだよって
お兄ちゃんこそ………
なに言ってんのよ……」
冷たい響きを持った
蕾の声にゾクッとした
「ずっとなんて………
ある訳ないじゃない」
肩を強く掴んだ
ぼくの手を振り払い
鋭い視線でにらみつけ
蕾は言った
「もうお遊びはお仕舞い」
「―――――――ふざけるなっ」
気がついたら叫び
蕾の上に馬乗りになっていた
「ふざけるなっ
ふざけるなよっ………
ぼくは……ぼくは蕾がいないと
蕾がいないとダメなのに……
…………殺せよ………
ぼくから離れて
行くっていうなら
ぼくを殺してから行けっ」
言葉とは裏腹
殺せと言ったクセに
ぼくは蕾の首に手をかけていた
だけど両手に
力がこもる事はなく
その白く細い首を撫で
涙が止めどなく溢れて
蕾の頬に落ちた



