お茶を淹れて
リビングに戻ってからも
美紗さんは しゃべり続ける



「なんか従姉妹とは
思えないくらい
綺麗な顔してるねー

蕾ちゃんって何年?」



「中3………」



「中3!
じゃあ来年受験だぁ
じゃあ、大変じゃない?
ほら、家事とか
本当に楓がちゃんと
蕾ちゃん養えるのかしら……」





………確か美紗さんは
お兄ちゃんの1コ下だっけ…




美紗さんの話す
言葉の端々には
私がお兄ちゃんのお荷物だ
というニュアンスが
聞き取れた




「ねえ、蕾ちゃん?」


呼びかけられ
視線を美紗さんに向ける



「中西の叔父様の家で
何か嫌なことあったの?」



「………いえ、別に……
なんで、そんなことを
私に訊くんですか?」



美紗さんは
私の目をじっと見てから
テーブルにお茶に
視線を移した



「ううん。
もし、中西の叔父様と
何かあって仕方なく
楓のところに来たなら
うちに来たらいいのにって
思っただけ」



「……仕方なくなんて…
私はお兄ちゃんと
暮らしたくて
ここに来たから………」



美紗さんは、ふっと笑い



「蕾ちゃんは
お兄ちゃんっ子なのね」



微笑む美紗さんの表情は
とても意地悪に見えて
バカにされた気持ちになった




そして彼女が
ここに何をしに来たのか
なんとなく、わかった