――――――――――嘘だろ?




まだ中学生だ


いや、そうじゃない


蕾だ


蕾がなんで………


………誰と?




黙り込んだぼくを振り返り


「お兄ちゃん?なにか話が…」



蕾はそこで言葉を切り
ぼくの視線の先を追った



腰をひねり 上半身だけ
こちらに向けたまま
蕾は無表情でぼくを見ていた




「………蕾。お前、誰だよ?」


自分でも初めて聞く声……


いや、初めてではない


蕾が襲われたことを知った夜も
同じ声が出たな



「この部屋に誰を入れた?」



「誰だっていいじゃない」


「――――――なっ………」



「妹が男とヤってたなんて
気まずいこと聞かないでよ」


……………蕾


「気づいても
見て見ぬフリするのが
マナーじゃない……」



「ふざけんなっ!」


ベッドから立ち上がり


蕾をにらみつけ怒鳴った



「ふざけんなよお前っ!
親がいないんだっ!
ぼくがお前の親がわりだっ!
マナーだと?
なめた事言ってんなよっ!」




蕾はぼくを見上げてた


鋭い目付きで 真っ直ぐ



「親?」


そう呟く蕾の声は震えてた


「親が私に何してくれたの…?
ねぇ、お兄ちゃん
親がわりって
親が私に何したっていうのよっ

お兄ちゃんは
その親の代わりに
何がしたいのよっ!」