シャワーを終え部屋に戻ると



ちょうど宙が
服を着てるところだった



「起きたんだ」


ドサッとベッドに座る私を


チラッと一度見てから
床に視線を落とし



「うん」と低い声でうなずいた



「今夜、なに食べたい?
っつっても、何でも作れるわけじゃないけど―――――――――――」



そこで宙が変な顔して
私を見てることに気付く



「なに?」って訊くと



静かに首を振り



「なんか、フツーだね」


宙は少し傷ついた顔をした



「蕾、すごいフツーだね」



「……フツーじゃダメ?」



「っていうか、
フツーそういう事、
言わないよ」



宙の言ってる
フツーも
そういう事も
私には わからない



「言いたいことあるなら
はっきり言えば?」


少し イラだって言った



宙は傷ついた顔のまま



「オレは蕾が好きだ」



宙の言葉に
胸がチリッと熱くなった


それが罪悪感というのか
わからなかったけど



「なんか、中西の顔とか
見たくないし」


………中西?
ああ、…お兄ちゃん


「帰る」



宙はそのまま部屋を出ていった