夏休みが終わり学校が始まっても、基本的には何も変わらない。とにかく勉強漬けの日々。
 ただ1つだけ、面倒な事がある。
 学校祭だ。
 委員長である私が色々仕切って、クラスの出し物とか合唱コンクールの歌とか決めないといけないらしい。
 仕切るとか苦手なのに、何でやらされなきゃなんないんだ。委員長だってなりたくてなったわけじゃないのに…。
「龍神さん、私も手伝うから何でも言ってね。」
「大宮恵那…」
「何でフルネームなの?」
「あっ…ごめん。女の子の友達ってあんまりいないから、何て呼んだらいいかわかんなくて…。」
「恵那でいいよ!私も瑞穂って呼んでいい?」
「うん。」
 私は必要以上に頷いた。だってこんな事言ってくれたの初めてなんだもん。
 最初は大宮の事…恵那の事、少し疑っていた。裏があるんじゃないかとか考えていた。でも、自分が疑っていたら一生友達なんて出来ない。そう思った。
 今は恵那の優しさを素直に受け取ろう。