しかし、その幸せも突然に終焉を迎えたのである。




妻が、屋敷に火をかけて自殺をはかったのである。




夫は、燃え盛る炎に焼き尽くされる妻を見つめていた。




その姿は、まるで炎のドレスを着ているように美しかった。




妻を見つめる夫の視線は、とても優しく愛に溢れていた。




妻は、両手を広げ夫を呼び求める。




夫は、妻の元へとゆっくり歩み寄って行く。




そして夫は、妻に抱きしめられながら炎に包まれ共に焼かれていった。




炎に包まれながら、夫を抱きしめる妻の目には憎悪が満ちていた。








妻は、夫の秘密を知ってしまったのである。







夫は、妻が病に倒れ死ぬ前から、願いを叶える魔法のランプを手に入れていた事を。







そして、夫が醜悪なものしか愛せないということを・・・





          [終]