夢かと思った。幸せだった。

それが、夢だとしても、でもそれでも良かった。
だって、目の前に夏帆がいる。おれに笑いかけてくれる。

それ以外の何がいるって言うんだ。



彼女は仮死状態だった頃の後遺症が残っていて、固形物は食べられない。あと、お風呂にも入れないから、一週間に一度。私の施設に連れてきなさい。そこで、栄養分は注入してあげるし、きれいにしてあげるから。いいね、できるね、


親父の声におれはただただ泣きながら頷いた。
そうか、夏帆は生きていたんだ。
そしてやっと、おれのもとにもどってきてくれたんだ。