なんで、なんで。繰り返されるのは、疑問ばかりで。なんでおれはもっと夏帆の話を聞いてやれなかったんだろう。夏帆はいつから、悩んでいたのだろう。

もっと、話を聞いてやればよかった。もっと夏帆の隣で、夏帆を幸せにしてやればよかった。それができないおれだったから、なぁ夏帆。


お前は、おれを連れて行ってくれなかったのか?


夏帆と二人、思い出の詰まりすぎた家で過ごすことは、おれには耐えられそうになかった。


ああ、こんなにも。おれは夏帆が好きだったのか。今でもずっと好きだったのか。


馬鹿なおれは、夏帆を失ってやっと、まだ彼女のことが本当に好きだったのだと、愛していたのだと、知った。