時折ゆうとはあたしの名前を寝言で呟く。そのときのゆうとの寝顔はいつもとても苦しそうで、あたしは何も出来ない自分が嫌になる。

あたしが出来ることは、ひどく少なかった。

ゆうとがあたしを呼ぶたびに、あたしもゆうとを呼んで、ゆうとの右手をぎゅっと握った。

それだけだったけれど、ゆうとの眉間のしわがその瞬間だけはなくなってくれるから、良かったな、と思う。


あたしはゆうとの右手をそのまま持ち上げて、祈るようにあたしのおでこにくっつけた。

どうか、どうか。ゆうとを幸せにしてあげられますように。


あたしには、それしかないんだから。