始めて会ったとき、
奏先輩のことカッコイイと思ったけど
どっちかって言うと
“無愛想”で。
それは今と全然変わらなくて。
それでも引き下がらなかったのは、
奏先輩の笑顔を知ってたから。
入学説明会のとき。
『つまらなさそうだったから』
という理由で抜け出した私を
奏先輩は廊下中に響き渡る声で笑った。
うん。
忘れてた。
今思い出した。
「バカだなー……私」
私、
抜け出したときに奏先輩に会えてたなんて。
つまらなさそうだから、抜け出す。
なんて
まだまだ子供。
だけど、そのおかげで奏先輩に会えたんだから。
それも
悪くないでしょ。

