「すごいです」



この曲を、

こんなに優しく弾けるセンパイが。



曲は5分くらいで終わってしまった。



それでも、すごく長いような

それでも、短いような。



色々、感想を言いたかったのだが


センパイから追い出されてしまった。




追い出されてから気づいたのは


センパイの名前を聞いていないこと。

また、聴かせてもらえると約束すること。



あーあ。




* * *




追い出されたあと、


とぼとぼと体育館に戻ると誰も居なくて

教室に行こうと思ったら、場所がわからなくて。


ダメじゃーん。センパイ。



「あれ、1年生?」



迷っている私に背後から声が聞こえた。