「雪先輩! 奏先輩、今どこにいますかっ!」 雪先輩は聞かれることがわかっていたかのように、 やっぱりという顔で答えた。 「音楽室だよ」 「行ってきます!」 雪先輩は手を振って、私を見送った。 『私、 奏先輩に 届けたい、です』 その気持ちは嘘じゃない。 届けたいよ。 いつから この想いが芽生えたのかわからない。 “機械みたい”って雪先輩は言ったけど あのときの奏先輩はピアノを弾くことが本当に好きそうで、 そんな奏先輩を私は好きになったんだ。