風にのせて君へ



……はい?



「えっ、えぇーっ!?」



私は思わず廊下のど真ん中で叫んでしまった。


雪先輩は、あちゃーという顔をしている。



「ごめん、教えてなかったね」

「いえいえ……」



突然の展開で
頭の中が整理できていない私。



それでも奏先輩は雪先輩を好きなんじゃないか
っていう疑念は消えないわけで。


それに雪先輩に彼氏がいるから、
奏先輩が内に秘めた恋心をピアノにのせて……




あーっ!
ダメだ!



奏先輩が誰かを想ってピアノを弾いてるとか、

ちょっとあり得なさすぎて
気持ち悪いんですけど……。



「乙冬ちゃーん、帰っておいで」



と言う雪先輩の声に引き戻されて
私は広がりゆく妄想をストップさせた。