私は我に返って声が裏返りながらも返事をした。
「はいっ!」
「なんで1年が居るんだよ?」
「そ、それは……ですね……」
さすが……鋭いですね。センパイ……。
「ほら、もう教室戻れ」
彼はしっし、と虫を払うように手を動かした。
「えー! 嫌です!」
「はあ?」
半ばあきれた声で彼が言った。
「さっきのピアノ、聞かせてください」
「嫌だよ」
即答するセンパイ。
ここで引き下がりたくない私は、
お願いー、とセンパイにしがみついた。
引き離そうとしていたセンパイも諦めたようで、
「弾いてやるから、どけ」
やったー!
と私は心の中でも体でもガッツポーズをした。

