『手ぶらだったよ?』 …はぁ。 名前も、持ち物からも手がかりは無し。 「でも病院にいたって事は病院で死んだのかもな。思い残した事とかあるんじゃないのか?」 まだ若いもんな。 ソファーへと腰掛けると、その隣に美緒も座った。 『思い残した事… 翔だけあたしが見えてるって事はあたし、死ぬ前翔の事が好きだったとか!?』 「真面目に考えろ」 横でケラケラ笑う美緒を横目に俺は真面目に考える。 …ったく、人が真面目に考えてやってるのに。 好き好き言いやがって…。