お互い、あまり会話のないままここまで過ごしてしまった。 何て声を掛けたらいいのかも分からなかった。 『…翔…もうそろそろだね』 そう言いながら俺の顔の前に手を持ってきた美緒。 …もう、手が見えなくなっていた。 …ううん、手だけじゃない。 手足の先から、ゆっくりと消えていってる。 「美緒…」 『今まで…ありがとね? すっごく楽しい毎日だった』 美緒は笑ってるけど…目からは涙が流れてる。 『…やっぱ…翔好きだ…』 泣きながら、笑って精一杯言う美緒。