「ライカ」

 ひと通り見て回り、落ち着いたところで名を呼ぶと大人しくセシエルの隣に腰掛ける。

「お前の親が見つかるまで、ここで暮らすんだ。これからよろしくな」

 改めて告げると、少年は少し考えてトレーラー内をぐるりと眺めたあと満面の笑顔を浮かべた。

「うん!」

 元気の良い返事にライカの頭を撫で回す。

「そっちにシャワーがある」

 入るように促すとライカは少し戸惑い目を泳がせる。不思議に思いつつ、途中の店で買った服を手渡し、その背中を見送った。

「まだまだ食わせないとな」

 袖から見える腕を思い起こし小さく唸った。

 しばらくしてドアが開く音に、体を拭いてやろうと立ち上がる。そんなセシエルにびくりとしたライカに気付かず、バスタオルを肩に乗せたとき、あちこちに青あざが窺えて目を(すが)めた。

 それを隠そうとするライカには何も言わず体を拭いてやるが、その目は険しかった。