──駆けつけたジャックは、霊安室で横たわるセシエルを見下ろし、暖かさを失った友に口の中で舌打ちする。

「あっけなさ過ぎるだろ、おい」

 駆け出しの頃からの腐れ縁だが、お前ならしぶとく生きていくんだと思っていた。相手を道連れにしたってのは、お前らしい最期だよ。

「ったく。大の大人が、ガキみたいに泣くなよ」

 いつまでも泣きじゃくっているライカの肩を抱き寄せた。

「だって……。だって、クリアが」

「ああ、そうだな。逝くには、まだ早かったと思うよ」

 こんなでかいガキを残して逝きやがって。

 しかし、どんなに悔やんでも、生き返ることはない。それが解っているからこそ、握った拳は、いつまでも(ゆる)められることはなかった。