「よく考えろ! そいつを殺して、おまえの怒りは本当に収まるのか?」

「当たり前だろ! 両親の(かたき)なんだぞ!?」

 オレから全部を奪った──復讐してやるんだ。

「ライカ! だめだ。よく考えろ。おまえの人生を棒に振るほどの価値が、そいつにあるのか?」

「じゃあ、クリアはこれまで、人を殺したことないのかよ!?」

「──っそれは」

 痛いところを突いてきやがるな。

「捕まらなければいいだけだろ!」

「そういうことじゃない!」

 捕まるとか、捕まらないとか、そういうことじゃない。確かに不可抗力ではあったが、命を奪ってしまったことはある。

 決して、望んで殺めた訳じゃない。

「人を殺すことは、そう簡単なものじゃないんだ。おまえは、まだその準備ができていない。感情だけで突っ走ったら、絶対に後悔することになる」

 こいつは、外見だけなら十分、強く見える。だが、精神的にはまだ幼い。人を殺めたあとの気持ちのやりどころなんて、あるはずがないんだ。